家族交流会の話題から②~当事者に声

 5月30日午後、北海道渡島総合振興局社会福祉課の生活保護担当職員研修会で「不登校・ひききもりの理解と支援」についてお話させてもらいました。この職場は機構改革前は渡島支庁社会福祉課で、私が昭和48年に北海道庁に奉職した最初の職場であり、職業人の原点ですので、とても懐かしい反面とても緊張しましたが、約20名ほどが参加、講演の後1時間以上も質疑が続き、とても密度の濃い研修会となりました。

 ところで前回は家族交流会の話題をご紹介しましたが、当地の会「あさがお」には、ひきこもりを体験した当事者の青年たちも参加して、その当時の状況や親子の関係、親に対する気持ちなどを率直に語ってくれます。これが参加した親御さんたちにとても参考になるようですので、そのいくつかを最近の会から紹介します。

『精神科で病院を受診、就労は無理でもボランティアから始めようと思い、自分なりに充実した活動ができたが、 親からは「それができるくらいなら働けるはず」と言われ認めてもらえなかった
『ひきこもった後は、何から手をつけて良いかわかない状態。周囲から「アルバイトからでも始めたら」と言わ  れたが、アルバイトでも途方もないことに感じられた
『いろんな団体や病院などを利用するには、本人が「ひきこもりかもしれない」「病気かもしれない」と、今の  自分の状態を受け入れることができないと、なかなか難しいと思う』
『孤立しないことが大切で、「自分だけでは解決できない」「誰かに頼っていいんだ、相談していいんだ」と本  人が開き直るれるような関わり方が大切ではないか。親の「指示」で何かさせようとするのは無理だと思う』
『「今の自分は仕事をするのは無理」と、ある種の<あきらめ感>を持つことで、かえってボランティア活動とい う次のステップに進むことができて、だいぶ元気になってきた』

 共通するのは、「こちらの考えるゴールや解決策を押し付けない」ことであり、本人が「大切に思われている」ことを実感できるような関係づくりが大切ということではないでしょうか。
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ひきこもり家族交流会の話題から①

 ブログが滞りがちで、しばらく「道南ひきこもり家族交流会・あさが」での話題を取り上げなかったので、3がう以降の例会からいくつか紹介します。

◆中学校はほとんど不登校で、通信制高校に進学しましたがスクーリングに出席できず、その後ずっと家にいるお子さんが、最近家の中のことを随分やってくれるようになりました。お父さんの体調が悪いときに家の引っ越しがあり「自分がやらなければ」と思うようになったのではないか、とのことですが、その後も炊事や掃除などレパートリーが増えて、家族で一緒に食事をすることも増えました。親御さんは「この子のおかげで私たちはとても助かり、ありがたい」とお話していて、その表情がとても温かかったことが、とても印象的でした。
「家にいるのだから、せめて家事くらいを」というように、お子さんが今やること、やろうとしていることを、「引換条件つき」で認めるのではなく、そのこと自体に価値のあることとして尊重し、お子さんを認めることが、親子関係を好転させる大きな契機になると思います。

◆しかし、親は「その後の一歩」をどうしても期待してしまいますし、親としては当然の気持ちでしょう。
「サポステ」「樹陽」「フリースペース」など、本人が外に向かうきっかけになりそうな活動を何とか早く本人に伝えたいと思います。事実、「サポステ」を勧め、本人も家族も長く続けるのは無理だろうと思って始めた就労体験を、3カ月の任期いっぱい務めることができそうな方もいますので、ちょっとした働きかけや情報提供が効果的な場合もあります。一方で、そのような会のことを話題にすることや、親がそういった会に参加することを嫌がるお子さんもいます。なかなか難しことですが、やはり、お子さんの状態とタイミングを見極めることが大切なのだと思います。

◆親が「あさがお」のような会に参加することを嫌がる場合、そのことを話した方が良いか、知られないように参加した方が良いか、これも一概に言えませんが、ある親御さんは「これは私が勉強するために参加しているので、あなたのことで参加しているのではない」とお子さんには説明しているそうです。「自分を何とかするために参加しているのではないか」とお子さんが考えてしまえば、当然にも会に対して良い印象は持たないでしょう。その方のお話では、「自分たちがこの会に参加するようになって子どもへの接し方が変わってきたことを本人も感じているらしく、こちらに来ることを嫌がることはなくなった」とのことですが、これはとても示唆に富むお話だと思います。

「親の会」例会より

 毎月開催される「アカシヤ会」の例会でも、4月に開設した「不登校相談情報センター南北海道」でうかがうお話でもそうですが、不登校の子どもに対する不適切な登校圧力の例が後を絶たず、これだけ大きな問題になって随分時が経つのに、基本的な理解が進んでいないことに暗然とします。それでも、センターにこれまで15件の相談が寄せられたなかに、「先生から紹介された」という方も何人かおられ、とても心強く思いました。 
 アカシヤ会の5月例会での話題です。頭では「無理させられない」と分かっていても、学校に行かない子どもを毎日目の前にしますと、親はついつい「このままでいいんだろうか」「だったら何かやってほしい」といった思いにかられます。そんなとき、例会で「先輩」の親御さんの体験を聞くことは、とてもためになります。今回も、小学1年でお子さんが不登校になり、20歳近くまで全く学校という場をくぐらずに成長したお子さんの親御さんのお話しは、とてもためになりました。
 この方も最初は戸惑い悩む日々でしたが、「何かの事情で学校に行くのが辛くなり、自分を守るための行動」と理解し、長い時間がかかっても良いと「覚悟を決め」て子どもを受けとめてから、親子関係も良くなっていったそうです。
「学校に行ってほしい」オーラが出ていると、子どもはそれを感じてストレスになり、元気になれない
『「勉強が遅れる」と心配になるが、無理にやらせて勉強嫌いにならないよう気をつけた』
日常の会話やテレビを見ながら、一般常識が身につくように心がけた』
『子ども自身がやりたいことが見つかると朝も起きて動き出すようになる。親はきちんとした情報を持って子どもの相談にはのるが、親が先回りして決めてもうまく行かない
などというお話は、とても示唆に富む、説得力のあるものでした。このお子さんは現在、看護師の道を目指して大学で学んでいます。

こまめさん、コメントありがとうございます。

 こまめさん、ご丁寧なコメントありがとうございます。少しでも参考になれば幸いです。
 関連して最近の例会の話題を紹介します。このごろ、「高校に入ってから行けなくなって…」というお話が増えています。「高校に何とか進学したい」というのは、お子さんにとっても親御さんにとっても切実な願いですし、学校も進路指導に力が入ります。
 あるご家庭ではお子さんが中学3年になり、理解のある先生の協力により相談室で個別に学習サポートを受けることができて高校に合格しました。しかし、入学式直後から行くことができなくなり、親御さんは無理に続けさせることはできないと思ってますが、通信制への転校などいろんな選択肢について、どのようなタイミングで本人と話し合ったら良いか悩みます。
 これは多くの方が経験するプロセスです。まずは本人の状態をしっかり理解することが出発点で、おそらくここまで頑張ってきてエネルギーを使い果たしたのだと思います。「せっかく進学したのに行けなくなった」と見るのではなく、お子さんは「相談室で先生と一生懸命勉強して、高校受験にチャレンジした力を持っている」と見ることが大切で、その力をまた発揮できるよう、今はゆっくり一休みしてエネルギーを蓄える時期なのだと思います。次の進路については、お子さんから相談があった時点で一緒に考えることにし、先回りしない方が良いと思います。「このままでは子どもがダメになる」という周りの思い込みがかえって子どもの力を奪います。
 また、現職教師の方が『先生は子どもに対して「頑張らなくても良い」とはなかなか言えない」とお話ししていましたが確かにそのとおりで、これは親御さんもそうだと思います。大人は、子ども一人ひとり成長のペースが違い、そのことを尊重すべきだとは理解しても、ついつい自分の思い描いたゴール(子どものあるべき姿)から今の子どもを見たり、他の子どもや兄弟姉妹と比べて見たりしがちですこのような「評価の眼差し」は、不登校の子どもの対してだけではなく、全ての子どもたち対し、とても抑圧的に作用していることを、大人は自覚したいと思います。とくに、発達障害領域の課題を抱えるお子さんには、「できないことをやらせる」よりも「できるところを認め、そこを伸ばす」という関わりが必要だと思います。

こまめさんへ

 こまめさん、21日の新着コメントありがとうございます。とても大事な、そしてよく相談される事例ですが、
こまめさんのご意見に全く賛成です。先生は善意でそのように言うのかもしれませんが、子どもを追い詰めるだけです。不登校は子子どもにとって、いくつもの事情が重なり合って学校がストレス要因になり、自分を守るために学校に行くことを身体が拒否している状態だということを、なかなか先生方にご理解いただくのが大変です。子どもは学校に来るのが当たり前で、それができないと子どもは成長できないという思い込みから、先生に限らず世の大人たちが解放されるには、まだまだ時間がかかるのでしょうね。
 百歩譲って、「学校に行けたほうが良い」と考えたにしろ、今とても辛い状態でエネルギーが十分溜まっていない子どもに無理強いすることは、メンタルヘルスの常識から考えてもやってはいけないことだと思います。最近、精神疾患で休職する先生方が急増し教育界の大きな課題になっていますので、私は最近、先生方の研修など」でお話させていただくとき、次のような例え話をいたします。
 『メンタルで休んでいる同僚にお見舞いにいったとき、「先生がいないとうちの学校は困るんで、頑張って早く治して出きてください」と声をかけますか?』全員首を横に振ります。子どもに学校に出てこいと指導するのは、これと同じことをやっているのではないでしょうか?
 「プリントくらいやらせるのは、子どもが学校に戻ったとき困らないために必要だ」という考えあるでしょう。
しかしこれも、休職中の先生に「休んでる間、せめてテスト問題を作ったり、テストの添削をしてくれないか」と言っているようなものです。休んでいる間は、思い切り仕事のことを忘れることが一番大切であり、不登校の子供も、一度思い切り学校のことを頭から振り払うほうが、早く元気になります。多くのお子さんは、身体は不登校していても心は不登校していないので、なかなか元気になることができません。
 ゲームについても大変な誤解で、ゲームをやりすぎて不登校になっているわけではなく、不登校の不安や辛さをまぎらすためにゲームで心を癒しているのです。休職中の先生が、休んでいるからといって趣味のパソコンや読書を禁じられたり厳しく制限されたらどうでしょう。
 いずれにしても、学校からの不適切な登校圧力から子どもを守ることができるのは親御さんしかいませんので、そのお母さんをサポートしていただければ幸いです。



 




近況報告&6月行事予定

 なかなかブログ更新ができません(-_-;) 「不登校相談情報センター南北海道」のHPもだんだん充実してきましたので、のぞいていただければ幸いです。 http://hakodatefutoukou.sitemix.jp/blog/
 5月15日は札幌で開催された北海道精神保健福祉士協会全道大会で「不登校・ひきこもり支援のソーシャルワーク」という演題発表をさせていただきました。PSWの集まりは初参加でしたので、関係者の皆さまに少しでも関心を持っていただけたとすれば幸いです。
 今月は30日の午後に、北海道渡島総合振興局保健環境部保健福祉室社会福祉課(役所の機構改革でやたらと名前が長くなるのは何とかしてほしいです(-_-;) 昔は「支庁の福祉課」で通用したのですが)の「生活保護関係職員研修会」で「ひきこもりへの対応」についてお話させていただきます。古巣へのカムバックで嬉しいです!(^^)!
 6月の定例会等は、次のとおりです。
◆サポステ「居場所」(ひきこもり当事者の出会いと交流の場)
・日 時:毎週火曜日・木曜日 (開設時間)12:30~16:30 
 ・場 所:HIFはこだて若者サポートステーション(元町14-1)
 ・申込先:サポステ事務局(0138-22-0325)     ・参加費:無料
◆ひきこもり当事者の集い「樹陽のたより」 
・日 時:6月12日(日)午前11時~午後1時
 ・場 所:函館地域生活支援センター2階(駒場町9-24)  
 ・連絡先:野村(090-6261-6984)        ・参加費:無料
◆道南ひきこもり家族交流会「あさがお」
 ・日 時:6月12日(日)午後2時~午後4時
 ・場 所:函館市総合保健センター2階会議室(五稜郭町・中央図書館向かい)
 ・連絡先:函館渡辺病院医療福祉科(0138-59-4198)
   野村(090-6261-6984)    ・資料代:200円(年会費納入の方は無料)
◆函館・登校拒否と教育を考える親の会「アカシヤ会」
・日 時:6月19日(日)13:30~15:30
・場 所:函館市総合福祉センター「あいよる」1階会議室((若松町33-6)
 ・連絡先:野村(090-6261-6984)  ・資料代:200円(年会費納入の方は無料)
◆「あさがお」「アカシヤ会」臨時合同例会
・日 時:6月26日(日)10:00~12:00
・場 所:函館市総合福祉センター「あいよる」3階第2会議室((若松町33-6) )
・連絡先:野村(090-6261-6984)  ・資料代:200円(年会費納入の方は無料)
平野直己さん(北海道教育大学札幌校准教授、心理学・精神分析学)を囲んで>
◆「昴の会~不登校をともに考える会」

 ・日 時:5月24日(日)午後2時~午後4時  (午後4時~5時 個別相談)
 ・場 所:北斗市七重浜住民センター「れいんぼ~」(JR七重浜駅に隣接)
 ・連絡先:川崎(0138-49-3245)  個別相談は野村(090-6261-6984)
・資料代:300円(年会費納入の方は無料)

6月の講演会のお知らせ

 6月に静岡と苫小牧で講演会を開催いただくことになりましたので、お近くの方にお知らせいただければ幸いです。

【講演会「学校へ行かない気持ち、行く気持ち」】 (転送歓迎)
□趣旨 学校へ行かない小中高生は全国に17万4千人いる!と言われています。
     その子どもたちが 学校ではない所で学び、友だちと楽しい時間を共有しながら
     成長していけたらいいな、と願っています。
□日時・場所
 ・6月4日(土) 14時~15時30分:講演会  15時40分~17時:座談会(定員20名)
           会場:富士宮市総合福祉会館1創作室
 ・6月5日(日) 10時~12時  会場:静岡市番町市民活動センター
□講師  野村俊幸(社会福祉士・精神保健福祉士)
□参加費 500円
□主催  ふじのくにエデュケーショナルネットワーク
□共催  生き生きクラブ  子どもの実☆ココナッツ  NPO法人富士山ネイチャークラブ
       NPO法人森の蘇り  NPOLireral  憩いの森楽煌 
       富士市不登校の親の会Izumi  暮らしと遊びの場野の花
□後援  NPO法人ゆめ・まち・ねっと  登校拒否を考える会・静岡
       富士市・富士宮市教育委員会
□申し込み・問い合わせ先 持旗(0544-54-2677)
        (あそべるスペースあります。お子様連れ歓迎)

【ひきこもりや不登校を考える講演会】 (転送歓迎)
□日 時  平成23年6月11日(土)13:30~15:30
□場 所  苫小牧市民活動センター3階会議室□対 象  家族、当事者、一般住民、関係機関職員
□演 題  「ひきこもり・不登校の理解と支援~我が家の体験から」
□講 師  野村俊幸(はこだて若者サポートステーション相談員)
□参加費  無料
□主 催  まゆだまの会(苫小牧保健所内)
□問合先  苫小牧保健所地域保健推進課精神保健福祉係
          (0144-34-4168)
□後 援  苫小牧保健所 苫小牧市 苫小牧市教育委員会
        苫小牧民報社 北海道新聞苫小牧支社
□講演会終了後(15:30~17:00)、講師を囲んで家族・当事者のみの懇談会を行います。

講演会報告と5月行事予定

 4月29日に開催した「不登校相談情報センター開設記念・昴の会2周年記念」講演会にはGW初日という集まりにくい時期にもかかわらず家族・当事者・支援者など45名もの方に参加いただき、「生きる力を育てる」という高柳滋治さんの講演も、小児科医という専門家の立場と親としても実体験に基づくとても説得力ある内容で、参加者一同、とても感銘を受けました。講演後の懇談会にも約半数の方が残って熱心に話し合いを行い、高柳先生が
とても丁寧にコメントしてくださって、みんな元気になって会を終了できました。また、運営にあたっては、センターの若いスタッフと「昴の会」の役員の皆さんが大いに力を発揮し、有意義な集いとなりました。
 なお、5月の不登校・ひきこもり関連の定例行事は次のとおりです。

◆サポステ「居場所」(ひきこもり当事者の出会いと交流の場) ・日 時:毎週火曜日・木曜日 (開設時間)12:30~16:30 
 ・場 所:HIFはこだて若者サポートステーション(元町14-1)
 ・申込先:サポステ事務局(0138-22-0325)
・参加費:無料

◆ひきこもり当事者の集い「樹陽のたより」 ・日 時:5月8日(日)午前11時~午後1時
 ・場 所:函館地域生活支援センター2階(駒場町9-24)  
 ・連絡先:野村(090-6261-6984)
・参加費:無料

◆道南ひきこもり家族交流会「あさがお」 ・日 時:5月8日(日)午後2時~午後4時
 ・場 所:函館市総合保健センター2階会議室(五稜郭町・中央図書館向かい)
 ・連絡先:函館渡辺病院医療福祉科(0138-59-4198)
 野村(090-6261-6984)
・資料代:200円(年会費納入の方は無料)

◆函館・登校拒否と教育を考える親の会「アカシヤ会」 ・日 時:5月15日(日)13:30~15:30
・場 所:函館市総合福祉センター「あいよる」1階会議室((若松町33-6) )
  ・連絡先:野村(090-6261-6984)
・資料代:200円(年会費納入の方は無料)

◆「昴の会~不登校をともに考える会」 ・日 時:5月24日(日)午後2時~午後4時  (午後4時~5時 個別相談)
 ・場 所:北斗市七重浜住民センター「れいんぼ~」(JR七重浜駅に隣接)
 ・連絡先:川崎さん(0138-49-3245)
 個別相談は野村(090-6261-6984)
・資料代:300円(年会費納入の方は無料)
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