集中連載「わが子が不登校で教えてくれたこと」教育改革編

 確かに、日本のどこで暮らしても、貧乏でも金持ちでも、すべての国民が一定水準の教育を受けることができるように国の責任で学校教育を行うことによって憲法第26条を実体化し、それがに日本経済を発展させてきたことは事実です。
 しかし、社会が成熟して人々の意識や価値観、生活形態が多様化すれば、どんなに優れた制度でもすべての人々を満足させることはできません。学校教育を子どもが社会人として成長するための多様なニーズに応える「ひとつの手段」と考えれば、国が決めた仕組み以外の様々な「学びの場」(もちろん家庭を含めて)を保障するのは、当然のことではないでしょうか?
 現実に、学校という場をくぐらずに、あるいは一時期しか利用せずに成長し、社会人として活躍している膨大な不登校経験者がいるという現実を直視すれば、国が用意した学校(私立学校も含めて)だけが、子どもの成長する場でないことは明らかです。足に合わなくなった靴に無理に足を合わせるのではなく、「足に合った靴」を用意することこそ、子どもの成長にとって大事なことではないでしょうか。
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集中連載「わが子が不登校で教えてくれたこと」教育改革編⑥

      「全員を学校に引き戻すことは無理」と認めることから
子どもが成長する場として、これからも学校が大きな役割を担うはずですから、今ある学校が子どもにとってより良いものになるよう願っていますし、そのために教育労働運動が果たす役割はますます重要になるでしょう。
しかし不登校が増え続けてきたのは、今の学校の仕組みが硬直化し制度疲労を起こしていることの表れでもあると思います。現在は、6歳になったら行政が決めた学校の小学校に入学し、6年経ったら中学校に進み、3年後に高校受験で振り分けられます。
 最近は「学区自由化」の動きもありますが、ある範囲の市区町村立学校のどれかを選ぶものに過ぎませんし、私立小中学校という選択はある程度経済力に恵まれた家庭に限られます。いずれにしろ、現在の学校教育法に定められた学校に行くしかありません。
 また、最近は「高認制度」によってだいぶ緩くなってきましたが、高校に行かなければその上の学校に進むことができません。このような「振り分けのシステム」は、本当に子どものためのシステムなのでしょうか?

集中連載「わが子が不登校で教えてくれたこと」教育改革編⑤

 不登校児は「学校のカナリヤ」では?
 不登校が増えるのは、子どもにとって学校がとても息苦しいものになっていることも背景にあるのではないでしょうか。今の学校はあまりにも多くのことを抱え込み(抱え込まされ)、管理強化が進んでいるように感じます。
 親も社会も、子どもの成長についてあまりに学校に多くを求めすぎているのではないでしょうか。学校運営に「ケアマネジメント」の考え方を活かすよう提案したのは、このような現状を改善するという意味もあります。
 私は、不登校の子どもは「学校のカナリヤ」ではないかと思います。その昔、炭坑では僅かの有毒ガスで死んでしまうカナリヤを坑道に放して、カナリヤ死んだら坑夫はが引き上げたそうですから、13万人もの~実際上はその何倍もの~学校の息苦しさに音を上げる「カナリヤ状態」の子どもがいるとことを、学校をめぐる課題のひとつとして真剣に考えるべきではないでしょうか。
 

集中連載「わが子が不登校で教えてくれたこと」教育改革編④

 ただし、教育はサービスではなく「国家が国民の与える恩恵」であり「国民を教化・統合する仕組み」 であると考えれば、不登校の子どもは、国が決めた大切な教育の場に参加しない「不届き者」であり、参加しないことで勝手に「恩恵を放棄している」ことになるでしょう。
 しかし、憲法第26条で規定するように国民は「教育を受ける権利」があります。「受ける権利」ではまだ受け身の感じがして、私は「学ぶ権利」と呼びたいのですが、この中には、より主体的に学びの場や方法を自分で選び、創り出す権利も含まれていると考えます。
 このように、「不登校をどう捉えるか」は、「教育とは何か」の根源に迫る問いを孕んだ問題であることを認識すべきではないかと思います。

集中連載「わが子が不登校で教えてくれたこと」教育改革編③

【教育への公財政支出の意味を考える】
 少し僻みっぽく聞こえるかもしれませんが、お金の話しをます。平成15年度の「在学者一人当たり公財政支出教育費」は、小学校が99万9000円、中学校では102万2700円、高等学校では111万2000円です。(文部科学省「データからみる日本の教育2006」)
 子どもが社会人として一人前に成長していくことは社会にとって不可欠なことであり、そのために学校教育が重要であることを国民が理解しているから、子どもがいる人もいない人も、子育て中の人も子育てが終わった人も、税金を投入して学校を設置・運営することを納得し、「多い少ない」の議論はあるでしょうが、一人当たり約100万円の税金を投入しているわけです。
 しかし、その税金分のサービスを受けるには、行政が決めた学校に行くしかないわけです。わが家の場合、次女は義務教育9年間のうち後半6年間はほとんど学校に行きませんでしたので、一人当たり教育費で換算すれば約600万円受け取らなかったことになります。次女は学校に行かないで成長して、今は社会人になって税金を払っていますので、随分不公平な話に思えます。

集中連載「わが子が不登校で教えてくれたこと」」教育改革編②

 「困った子どもたち」という立場からは「ほとんどの子どもが学校に通っているのだから、それができない方に問題がある」と考え「学校に適応させるにはどうしたらよいか」ということになるでしょう。今の「不登校対策」は、ほとんどがこのようなスタンスだと思います。
 しかし「お客さんが逃げている」と考えれば、「現在の学校や教育のあり方に何か問題があるのではないか」と自問することになるでしょう。
 教育を「サービス」と呼ぶことに抵抗感を持つ学校関係者も多いと思いますが、民間企業の場合、お客さんが離れていったら自分が提供する商品やサービスに何か問題があるのではないかと考え、様々な研究・改善に努めるでしょう。離れていったお客を「困った客だ 」と考える企業は、間違いなく倒産します。
 もちろん教育は、先生が授業というサービスを提供し、子どもがそれを消費するといった一方的な関係ではなく、教える者・教えられる者の相互作用を通して、子どもたちが成長す場を、先生と子どもがともにに作っていくという営みですから、一般企業と同様に市場原理による競争や成果主義を取り入れようという意味ではありません。
 教育もまた子どもの成長と自立を支援するという意味でパブリックなサービスであり、「行政サービスの向上」「福祉サービスの充実」と同じような意味合いです。そして、学校が提供する「教育サービス」がいろいろな面で子どもたちの求めるものとズレを起こしているのではないか、ということです。

「すまいる」無事スタート!

 4月19日、函館圏フリースクール「すまいる」が無事スタートしました。さすがに初日はお子さんの利用者はおりませんでしたが、協力したいという方や連携したいという関係団体の方などがおいでになり、訪問支援の相談もあって手応えを感じているところです。まずは少しでも多くの悩んでいるご家族に情報をお届けすることが大切だと考えていますので、情報発信にご協力いただければ幸いです。

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さすがに初日はお子さんの利用者はおりませんでしたが、協力したいという方や連携したいという
関係団体の方などがおいでになり、訪問支援の相談もあって手応えを感じているところです。
まずは少しでも多くの悩んでいるご家族に情報をお届けすることが大切だと考えていますので、
あらためてご助言方よろしくお願い申し上げます。

函館圏フリースクール「すまいる」スタート!

 本日4月19日(木)、0時、函館圏フリースクール「すまいる」が開設されます。七飯町で「チーフ―・インターナショナル・クリスチャンスクール」というオルタナティブスクールを10年にわたって運営している庄司証さん(北海道教育大学函館校非常勤講師、32歳)が中心になって準備を進めてきたもので、私も副代表としてお手伝いさせていただくことになりました。当面、フリースペースは毎週木曜日の開催ですが、訪問サポートや相談活動も行います。ささやかな活動ですが、関係者にご紹介いただければ幸いです。(転送歓迎)
【趣旨】
 「すまいる」は週1回のフリースクールです。フリースペースは、家から出て通うことから始めます。
 それから、子どものニーズに応じたサポートを行います。訪問サポートは、スタッフが自宅に伺って
 悩みや活動内容等を相談します。「すまいる」は学校を否定するものではありません。
 学校で輝いている子もたくさんいます。しかし、輝く場が学校でない子どももたくさんいます。
 そんな子どもの居場所になれたらと思っています。
【フリースペース】
 □対 象:小学生~高校生年代
 □活動日:毎週木曜日10時~15時(祝日はお休み)
 □場 所:函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4‐19、旧丸井デパート)
        3階旧エレベーターホール
 □費 用:1回500円 賛助会員費:年間1000円、保険料等実費負担
【訪問サポート】
 □目 的:お宅に伺い、メンタルフレンドとして楽しく話したり遊んだり…。     
        あくまで活動の中心は子どもで、新しい一面を一緒に見つけることが目的です。
        在宅学習支援をご希望の方はご相談ください。
 □活動日:要相談(週1回60分)
 □費 用:1回2000円(交通費込み) 賛助会員費(フリースペスと共通):年間1000円、
        研修費等実費負担
【メール相談】 
 連絡先:akashi.shoji@gmail.com  無料、随時(内容によって返事が遅くなる場合があります)
【個別相談】
 連絡先:090-6261-6984(不登校相談情報センター南北海道・野村)、無料
【賛助会員募集】
 □年会費:一口1000円から
 □郵便振替口座:02790-4-66643 函館圏フリースクールすまいる
 □銀行振込:二七九(ニナナキュウ)店(279) 当座 0066643 ハコダテケンフリースクールスマイル
【すまいる事務局・庄司証】
 七飯町大川2丁目2-1-204 090-9522-1841
 http://hakodate-smile.jimod.com/

集中連載「わが子が不登校で教えてくれたこと」教育改革編①

 これまでの連載は、不登校についての適切な理解にふまえ、ソオーシャルワークの方法論に基づいて個別のケース支援を行うことの大切さを訴えてきました。私は同時に、不登校は「教育のあり方を問う」という視点を持つ必要があると考えています。
 つまり、不登校が高止まりのまま減少の兆しが見えず、実質的に不登校状態の子どもは統計をはるかに上回ると推定される現実は、これまでの文部科学省の「不登校対策」は見当違いであり、子どもや家庭の問題に還元することは間違いであることを証明しているのではないでしょうか。
 私は不登校を重大な「社会現象」と捉え、社会的・制度的な解決策を考える必要があると思いますが、その場合「不登校をどのように捉えるか」によって対応策は全く変わってきます。
 例えば、全国の小中高校生学生1500万人のうち「わずか17万人の学校にいけない、いかない困った子どもたちを何とかしなければならない」と考えるのか、「13万人もの大事なお客さんが逃げ出しているのは、提供しているサービスに何か問題があるのではないだろうか」と考えるのとでは、その後の対応が大きく違ってくることは明らかでしょう。

「ひきこもり」理解啓発セミナー集録のお知らせ

 「ひきこもり」相談支援で優れた活動を続けている「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」が、
『「ひきこもり」理解啓発セミナー集録』を発行しました。昨年11月12日に札幌市で開催したセミナーの報告書(A4判全32頁)で、「家族論」や「犯罪論」の第一人者の社会評論家・学芹沢俊介さんの基調講演
『存在論的ひきこもり論ーわたしは「私」のために引きこもる』と、3人の「ひきこもり」体験者が参加したシンポジウムの記録です。
 芹沢さんは、「ひきこもることの全面肯定」が出発点であること、「ある自己(beeing)」が基底にあってこそ「する自己(doing)」が成り立つのであり、まずは前者をしっかり支えることが支援には不可欠であること、「ひきこもり」は「往路―滞在期ー復路」のプロセスであり固定的に見ないこと、それぞれの段階の支援の仕方があって、滞在期をしっかり保障すること等々、大切な視点をとても分かりやすく語っています。
 当事者シンポでは、函館のひきこもり当事者会「樹陽のたより」の田中透さん、帯広・リカバリースポットの酒井一浩さん(作業療法士)、札幌・SANGOの会の吉川修一さんが体験を語り、体験者ならではの説得力ある内容が満載の報告集です。
 ご希望の方は、「送料込み一冊500円」で「郵便振替:02700-4-66261」「加入者名:レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク 」にお申込みください。入金確認後発送するそうです。

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「ひきこもり」相談支援で優れた活動を続けている「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」が、
『「ひきこもり」理解啓発セミナー集録』を発行しました。
昨年11月12日に札幌市で開催したセミナーの報告書(A4判全32頁)で、
「家族論」や「犯罪論」の第一人者の社会評論家・学芹沢俊介さんの基調講演
『存在論的ひきこもり論ーわたしは「私」のために引きこもる』と、
3人の「ひきこもり」体験者が参加したシンポジウムの記録です。
芹沢さんは、「ひきこもることの全面肯定」が出発点であること、
「ある自己(beeing)」が基底にあってこそ「する自己(doing)」が成り立つので、

まずは前者をしっかり支えることが支援には不可欠であること、
「ひきこもり」は「往路―滞在期ー復路」のプロセスであり固定的に見ないこと、
それぞれの段階の支援の仕方があって、滞在期をしっかり保障すること等々、
大切な視点をとても分かりやすく語っています。
当事者シンポでは、函館のひきこもり当事者会「樹陽のたより」の田中透さん、
帯広・リカバリースポットの酒井一浩さん(作業療法士)、
札幌・SANGOの会の吉川修一さんが体験を語り、
体験者ならではの説得力ある内容が満載の報告集です。

ご希望の方は、「送料込み一冊500円」で「郵便振替:02700-4-66261」
「加入者名:レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク 」にお申込みください。
入金確認後発送するそうです。

集中連載「わが子が不登校で教えてくれたこと」補足

 前回ケアマネジメントについてふれましたが、少し補足します。地域のさまざまな社会資源や関係機関の力も借りながら「ネットワーク」により問題解決を進めますので、そのためのキーパーソンが必要になりますが、当事者に近すぎると思い入れが強すぎたり、いろいろな利害関係が絡んで、うまくいかない場合は多いです。
 08年度に文部科学省は初めて「スクールソーシャルワーカー活用事業」を約15億円の予算で、全国141地域で開始しました。スクールソーシャルワーカーの本来の役割は、ソーシャルワークの価値・倫理に立脚した専門的援助技術を用い、「子どもの最善の利益」を最優先し、個人に責任を求めるのではなく、「環境との相互作用」に焦点を当て(エコロジカルソーシャルワークの視点)子どもをパートナーとして一緒に問題解決を図ります。
 残念ながらがらソーシャルワークの専門家が配置されているとは限らず「不登校を減らすための手段」のように使われている地域もあるようですが、そうではなく、このキーパーソンをスクールソーシャルワーカーが担ってほしいと思います。そこで学校現場からも、本来の正しいスクールソーシャルワーカーの配置・活用を提言いただければ幸いです。

      当事者(自助)グループとの連携を強化する
 ネットワークを構成する社会資源の中でも、「アカシヤ会」のような各地の「親の会」や、「フリースペース・フリースクール」など、当事者や体験者が自分たちの必要性から創り出す当事者(自助)グループ~セルフヘルプグループ~はとても大きな力を発揮します。
 ソーシャルワークではケースワーク、コミュニティワークとともにグループワークが専門的援助技術の一分野として位置づけられ、当事者(自助)グループの活動もその一翼を担っています。社会  福祉や保健・医療分野では、さまざまな「患者の会」や障害者のグループ、家族会などの当事者(自助)グループをエンパワメントを発揮する援助としてとても重視しますが、教育の分野ではあまり評価されていないように感じています。
当事者(自助)グループには次のような役割があり、お子さんが不登校になって悩んでいる親御さんが、このような会に参加することで元気を取り戻し、親子関係が改善して子どもも元気になっていくという実例を「アカシヤ会」でもほんとうにたくさん経験しています。是非、学校現場でもこのような会についてご理解いただき、連携してくださるようお願いいたします。
①当時者のナマの体験を聞き「生きた情報」を直接に得ることができる。
②悩みを抱えた当事者が、自分の体験を語ることで癒され、自分の気持ちも整理できて、次のステップに歩 むことができる(カタルシス効果)。
③社会資源や関係機関の活用など、具体的な課題について相談しあえる。
④社会の理解を広め行政機関や学校など関係者に要望や働きかけを行う。
⑤ピア・カウンセリングの機能を果たす。

集中連載「わが子が不登校で教えてくれたこと」⑪

          大切なコミュニティーワークの視点
 前回は「学校だけで抱え込まない」というところで終わりましたが、そのためには「コミュニティワーク」という視点が必要です。ひとことで言えば「学校も地域における<子育てネットワーク>のひとつの機関」と考えようということです。
 つまり、社会福祉の援助活動では、家庭や個人、あるいは特定の施設だけに解決を委ねるということではなく、地域の課題として問題を考え、解決の道を探ろうというコミュニティワークがとても重要であり、学校運営にもこれを取り入れてほしいのです。そのためには「ケアマネジメント」の手法をが必要です。

          ケアマネジメントの手法を生かす
 介護保険が導入されて「ケアマネージャー」という職種がお馴染みになりましたが、ケアマネジメントの考え方をひとことで言いますと、クライエントの課題を解決するために、関係者が自分たちの提供できるサービスを吟味し、「誰がどのような形でクライエントに関わるか」を協議して、できるだけ一か所で丸抱えしないで連携して対処するというものです。また、援助方針の決定に際しては、「当事者の参加」が原則です。
 ところが、「不登校=問題行動」と考えてしまいますと、当事者である子どもを抜きに「不登校している子どもを何とかしよう」と考えて、学校だけで頑張ってしまいがちです。
 また、ケアマネジメントでは、今起きている問題を、クライエントの問題だけではなく、「援助者側の問題」も併せて検討します。つまりクライエントと援助者をひとつの「システム」として考え、そのシステムに何か不具合が起きているのではないだろうかと考えるわけです。
 そこで「子ども・家庭・学校」をひとつのシステムと考えますと、不登校は3者の相互関係に「何らかの不具合」が生じている現象です。それは「今のシステムを変える必要がある」というシグナルですから、「問題行動」ではなく何らかの「意味のある出来ごと」です。

         不登校をプラスのきっかけにする
 ですから、きちんとしたサポートがあれば、むしろ「子ども・家庭・学校」の関係を見つめなおすとても良い機会になります。不登校を体験したたくさんのご家族からうかがうお話で必ず共通しているのが、「子どもの不登校はそれまでの親子関係を見つめ直すとても良い機会だった」ということです。
 同じように、子どもと学校の関係を見つめ直すとても良い機会のはずですが、子どもだけが変わるように責められているとしか思えないような事例が実に多いようで、とても残念なことです。

集中連載「わが子が不登校で教えてくれたこと」⑩

 昨日から臨床福祉専門学校で、今日から北海道教育大学函館校で講義が始まり、また、今月中のスタートを目指してフリースクールづくりの取り組みも進んでいて、何かとバタバタしていますが、ブログ更新が滞らないよう努めますので、引き続きおつきあいのほど、よろしくお願い申し上げます(*^_^*)

【連載続き】
④「時間がかかってもよい」と考え焦らない
 これもどのような相談にも言えることですが、不登校の場合に親や学校は「新学期になったら」とか「学年が変わったら」「修学旅行までには何とか」といった期限目標を設定しがちです。しかしこれは学校のスケジュールであって、その子どものリズムと一致するとは限りませんし、子どもにとってはむしろプレッシャーになるばかりです。
 また、保健室登校などでせっかく子どもが動き出したのに、「次はいつクラスに入れるか」などと焦って目標設定をしないでほしいのです。不登校のお子さんが登校を再開しますと、たいていは過剰適応し、100%の以上の力を出して必死に頑張っている状態になりますので、長く続かないのが普通ですから、上手に手抜き、息抜きできる援助が大切だと思います。

⑤「不登校の解決」はまず子どもが元気なることから  
 数多くの実例が物語っているように、「学校に行かないとその子の未来はない」ということは決してあません。学校復帰がよい結果を生む場合もあれば、学校の外で生きることがその子に合っていることもあり、どちらが正解なのか誰も始めからは分かりません。大切なのはその子が元気になることであり、元気になって学校に戻る子もいれば、戻らない子もいます。ですから、学校復帰はひとつの「結果」であって、「目的」ではないと考えて、まわりの人たちは不登校の子どもに関わってほしいと思いま。

⑥学校だけで抱え込まない
 つまり、子どもの成長をもっと長いスパンで考えてほしいのです。例えば、中学校が「がんばって不登校の子を早く学校にもどして高校進学につなげた」というのはその時点では学校にとって最善の努力をしたことになるのかもしれません。高校が「なんとか中退しないように援助して次の進学までつなげた」というのもそうかもしれません。
 しかし、その後のことまで責任を持てるわけではありませんし、そこまで求められても学校も困ると思います。これは、「ひきこもり」の相談支援に関わってから、特に強く感じることです。ひとことで言いますと、不登校がひきこもりの原因になるのではなく、「しっかり不登校しなかった」「安心して不登校をさせてもらえなかった」ために疲れ切ってしまい、ひきこもりに追い込まれたと考えざるをえ   ない事例がたくさんあるからです。
 ですから「学校にできることには限りがある」ということを、親も先生も、学校に関わるすべての人々がお互いに理解して、「学校だけで抱え込まない」ことが大切です。

集中連載「わが子が不登校で教えてくれたこと」⑨

 前回、先生の家庭訪問や友だちのお迎え学校の「善意」かもしれないが、子どもにとっては大きな負担になるとお伝えしましたが、ここで注意しなければならない「不登校支援のポイント」をいくつかまとめてみました。
①「誰のための援助か」を常に検証する
 これは不登校やひきこもりの支援にかぎらずどのような場合にも言えることで、何かの援助を行う場合、それは「誰のために、何のために」ということを常に検証する必要があります。不登校の場合は、周りが一生懸命子どもを学校に戻そうとしがちですが、それが目的とすれば、それは本当に子どものためなの援助なのか、それとも不登校を減らすという学校にとって必要な取り組みではないのか、あるいは親が安心するための取り組みになっていないか、よくよく吟味してほしいのです。「善意の道は地獄へ通じる」いう西洋の諺をしっかりく頭に入れてかかる必要があります。

②「不登校も選択肢のひとつ」という柔軟な発想を持つ
 「個別化」の原則でもふれたように、子どもは一人ひとり違いますので、学校というステージで自分を大いに自分を研く子どもいますし、そうでない子どもがいてもいいはずですから、「不登校も選択肢のひとつ」と考え、まずはゆったり構えてほしいと思います。

③「不登校=問題行動」と短絡的に考えない
 そのためには、不登校自体を「問題行動」と捉えないことです。そのように見えるのは、不登校に伴って表れる子どもの様々な状態~身体症状、学習意欲の低下、昼夜逆転、自傷行為、家庭内暴力など~が「問題のある」つまり「改善や治療が必要な状態」に見えるからです。しかしこのような現象は、まわりの人たちが不登校を「問題行動」として否定的に見るため子どもが「誰も自分のことを理解してくれない」と絶望的な気持ちになって引き起こされる場合が多く、いわば「問題行動」に追い込まれているわけです。そして、周りがそのことでさらに不登校を否定的に評価することで「問題行動」をエスカレートさせるという悪循環に陥る事態がしばしば起こります。
 このような悪循環を、精神保健の分野では「二次的行動」「二次障害」と言い、当事者をそのような状態に追い込まないように充分気をつけるのですが、親や学校がこういう対応をしてしまう例がとても多いように思いますので、十分に注意する必要があります。

集中連載「わが子が不登校で教えてくれたこと」⑧

 今回からもう少し具体的に「学校にお願いしたいこと」について、親の立場からいくつか申し上げたいと思います。
 まず、「友だちのお迎え」についてですが、これは、親御さんや先生が「子どもの不登校をなんとかしたい」と考えるときに、「仲良しの友だちに迎えにきてもらったら、行くことができるのではないだろうか」と考えて、ついついやってしまいがちな方法です。子どもたち同士が自然な気持で行来するのはいいですが、不登校の子どもは、友だちと会ったり連絡を取るのが辛くて嫌がることが多いです。まして、親や学校が  登校させるために同級生を家庭訪問させるというのは悲惨な結果になる場合が多いと思います。
 長女は「友だちの朝のお迎えがとても辛かった」と話しており、「学校は楽しいから来てね」といった「お手紙コール」というのもあって、途中から中を見るのが怖いどころか触るのも恐怖だったそうです。しかし、そのままにしておくと親に見つかってしまうので必死になって指先でつまんで真っ直ぐゴミ箱に持って行ったと話しています。同じような話は不登校体験者からたくさん聞いており、手紙に直接さわれなくて箸でつまんで捨てたという方もいました。
 次女も小学校時代は無邪気ですから、放課後になると友だちの家に遊びに行ったり友だちも遊びに来たりしてましたが、そこでは学校がどうのこうのという話はなくて、ただただ本人たちが一緒に遊びたいだけだったようです。ところが、中学で不登校になったときは「放課後家に遊びに来る同級生の中には、先生に言われてきたと分かる子がいて楽しく遊べなかった」と話していますし、やはり同級生からのお手紙コールがとても辛くて、たいした付き合いもない子どもから「学校においでよ」という手紙には何度も泣かされたといいます。
 私が「友だちのお迎えを止めてほしい」と言うのは、不登校の子どもは友だちに誘われても行けないという辛さに加えて、「せっかく来てくれた友だちに申し訳ない」という負い目でダブルパンチになってしまうからです。その友だちにしても、迎えに行っても効果がなければ「せっかく迎えに行ったのに」とその子を非難する気持ちになったり、「先生から頼まれた役目を果たせなかった」と責任感を感じてしまうなど、双方が傷付くことになります。
 「友だちがほしい」と子どもが援助を求めている場合は、「誰と、どんなふうに遊びたいのか」など、本人の気持ちをよく聞いて、その子が来てほしいと思っている相手に対し、そのことを頼んでみるのは良いことだと思います。ただしその場合、くれぐれも「登校させるための手段」という下心は持たないでください。子どもは「大人のもくろみ」を実によく見抜いています。
 

集中連載「わが子が不登校で教えてくれたこと」⑦

 バイステックの原則中で、おそらく最もポピュラーなのが、「受容」でしょう。最近は「受容と共感の生徒指導」などというように学校現場にも知られてきたようですが、これも現実にはたいへん難しいことです。例えば不登校の場合、「学校に行かない理由を聞いても、言ってくれないから困る」という話を親御さんからも先生よくうかがいます。これは「話したくても話せない」し、本人も「うまく説明できない」というのが現実です。そもそも「私はかくかくしかじかの理由で学校に行くのがいやになったので不登校します」と説明できるくらいなら、不登校にはならずにすみます。
 不登校の子どもが最初にさまざまな身体症状を訴えるのは、ことばでは説明できないので「これ以上無理して学校に行ったら自分がダメになる」と身体が信号を出して自分を守っている状態なのです。ですから、子どもの辛い状態を批判や注釈を加えないで、まずそのまま丸ごと受けとめることから出発することが大切です。
 そこで「クライエントを自分の価値観に基づいて非難しない」という原則5が重要になりますが、現実には往々にしてその逆のことをやってしまいがちです。例えば、親も先生方も「原因探し」に走ることが多いのではないでしょうか。
 もちろん、冷静にじっくりと原因を考えることは大切で、いじめや体罰を受けて、恐怖のために学校に行けなくなる例が実に多いです。その場合はしっかり子どもの人権を守り、子どもの安全・安心を確保するためにも、そのような危険な場所に子どもを通わせないという毅然とした態度も必要になるでしょう。
 また、勉強が分からなくなったり、友だち関係がうまくいかないことがきっかけになることもあります。その背景に学習障害や発達障害のような、何らかのハンディがあること場合もありますから、それぞれの事情をきちんと理解し、学習や生活面についてそのお子さんにできるだけあった個別の支援を考えたりする必要があると思います。
 最近は子どものうつ病が増えていることに警鐘を鳴らす児童精神科医もいますので、場合によっては適切な治療が必要になる場合もあります。ただその場合は、くれぐれも児童精神科領域に詳しい、お子さんのことをよく理解している精神科や小児科のお医者さんを選んでほしいと思います。
 いずれにしても、不登校の大半はいろいろな要因やきっかけが重なり合って生じますので、原因は特定できない場合が多いのですが、さて、ふだん私たちは相手が自分にとって良いことをしてくれる場合、しつこく理由を尋ねるでしょうか? 子どもが100点を取ったときに「どうして、どうして」と詮索する親はあまりいないと思います。
 焦って原因探しに走るのは、今起きていることを自分にとって「良くないこと」「困ったこと」だと考えているからです。だから、まわりの人たちが直接口に出して不登校を非難しなくても、原因探しに走れば、そのこと自体が子どもに対し「不登校は悪いこと」「親や先生を困らせていること」だという「非難のメッセージ」を送ることになってしまい、そのことで子どもはさらに苦しみます。ですから、原則5の態度が大切になるのです。

集中連載「わが子が不登校で教えてくれたこと」⑥

【お詫び】連載を1回抜かしてしまい、前回⑤として掲載したのは第6回分ですので、今回第5回分を掲載     します。従いまして、本来は前回と今回は順番が逆になりますのでご了承ください(-_-;)。


 次女が参加していた函館ダンスアカデミーが、2000年の「ヤングダンスフェスティバル」の全国大会で優勝し、そのご褒美で、翌年ニューヨークで開かれたジャパンフェスティバルというイベントに招待され、カーネギーホールで踊るという経験もできましたので、「親の欲目」もあってダンスのプロに進んではどうかと次女に誘い水を向けてみました。
 残念ながら次女はその話にはのってきませんでしたが、彼女なりにいろいろ将来のことを思い悩み考えていたようで、やがて「公務員試験を受ける」と言いだしてスタジオを辞め、公務員試験の予備校に通い出しますます。勉強らしい勉強はしていないので私は受かるとは思っていませんでしたが、本人は「背水の陣」という気持ちだったらしく、生まれて初めて猛勉強を始め、驚いたことに平成14年秋の国家公務員試験と道職員試験に合格し、次女は道庁に勤務しました。
次女も5年前に結婚してしまい、今は旭川で共働きしながら生活しており、2歳の男の子にも恵まれましたので、子育てひと区切りということになり、ホッとした気持ちと気抜けしたような気持が半々です。
 次女が不登校になったとき「姉が不登校だったから、せめてお前は普通に行ってほしい」とプレッシャーをかけていたら、多分こういう展開にはならなかったと思うのですが、そのことをケースワークの理論を手がかりに考えてみます。

集中連載「わが子が不登校で教えてくれたこと」⑤

 ここで、長女と次女への対応の違いが持つ意味を考えてみます。というのは、わが家の体験はたまたまそうだったということではなく、F.P.バイステックが提唱した「ケースワークの原則」でとてもよく説明がつくからです。
 バイステックは、アメリカの社会福祉の臨床家で、1957年に発刊した「ケースワークの原則」で7つの原則をあげましたが、これは今でも社会  福援助活動の最も基本的な考え方として定着しています。(「ケースワークの原則・新訳版~援助関係を形成する技法」誠信書房)
 ひとことで言えば、私は長女のときはことごとくこの原則に反した対応をし、その結果長女をボロボロになるまで追いつめ、次女のときは、私はまだ社会福祉士ではなくこの原則を知っていたわけではありませんが、振り返ってみると概ねこの原則にかなった対応をしていたように思います。
 これはわが家に限らず、「アカシヤ会」をはじめ全国にのたくさんのご家族からうかがった話にほとんど共通して言えることです。つまり、この原則は普遍性があると実感していますのでまずその7原則を紹介します。(カッコ内は旧訳による)
 原則1 「クライエントを個人としてとらえる」(個別化)
 原則2 「クライエントの感情表現を大切にする」(意図的な感情表現) 
 原則3 「援助者は自分の感情を自覚して吟味する」(統制された情緒関与)
 原則4 「受けとめる」(受容)
 原則5 「クライエントを一方的に非難しない」(非審判的態度)
 原則6 「クライエント自己決定を促し尊重する」(自己決定の尊重)
 原則7 「秘密を保持して信頼感を醸成する」(秘密保持)

集中連載「わが子が不登校で教えてくれたこと」④

 次女の不登校については学校にもきちんとお話して、「今、この子は安心して休息することが必要なので、先生や友だちのお迎えなどは控えてほしい。子どもの様子は、私どもの方からきちんと報告しますので」とお願いをし、学校も理解してくれました。
 すると、次女の身体症状は不思議なくらいすぐに消えて、朝から家の中でゲームをしたりテレビを見たりして過ごし、放課後になると友だち一緒に遊ぶようになって、そのうち、昼間も一人で外出できるようなりました。
 もちろん家では学校の勉強は全くしませんから、4月に学校から届けられる教科書の類はそのまま段ボールに入ったままで、もったいない話ですが、日の目を見ることはありませんでした。
 わが家に限らず、不登校のお子さんが家で一生懸命勉強するという話はほとんど聞いたことがありません。お子さんは何らかの理由で学校に強いストレスを感じて不登校になっているのですから、最も「学校の匂い」のする教科書などに気持ちが向くはずがありませんので、「学校に行かないなら、せめて家で勉強して欲しい」というのは無理があります。
 こうして不登校のまま小学校を終えましたが、中学進級時に学校に行くと言いだします。一見元気に不登校をしていたように見えた次女も、小学生なりに心の中は不安や心配でいっぱいだったようで、中学進級をきっかけに意を決して学校に行くわけです。
 しかし、やっぱり雰囲気になじめず、今度ははっきりしたいじめもあって間もなく行かなくなり、中学校には結局2ヶ月ほど通っただけで、後は全く学校に行かないまま中学校を卒業しました。 
 次女はご多分にもれず、まずは腹一杯ゲームに没頭してましたが、そのうちにエネルギーが溜まってきたようで、全くひょんなことから函館ダンスアカデミーでジャズダンスを習い始め、やがて発表会やいろいろなイベントに忙しく飛び回るようになります。
 それでも高校進学については随分悩んだようですが、結局はダンスを優先するために時間が自由になるからということで、やはり有朋高校の通信制に進みます。

集中連載「わが子が不登校で教えてくれたこと」③

 長女の不登校のきっかけは、ひどいいじめがあったことがずっと後になって判明します。長女は「何をするにも一緒」という女子の行動パターンが嫌でどのグループも入れずに孤立してしまい、男子からいじめのターゲットにされてました。  
 しかし、通信制高校にはいろんな年齢層の人がいて、とても居心地が良かったと言いますが、同じ年齢集団に馴染めない子どもが不登校なるという話は、長女にかぎらずとても良く耳にする話です。
私たちは、同一年齢で一学年を構成するという現在の仕組みを当たり前と考えていますが、そのような集団が苦手な子どももたくさんいることにも注意を払う必要があると思います。
 その後もいろいろ紆余曲折がありましたが、アルバイト先で知り合った青年と結婚し、札幌で3人の子育てに奮闘中です。本当に「孫という名の宝物」で、長女が中学4年目のあのときに、自分の気持ちを変えることができず学校に行くことを強制し続けていたならば、孫の顔を見ることはできなかったかもしれないと思っています。

 次に、今28歳の次女は、小学4年で不登校になりますが、それまでは友だちもたくさんいて先生にも可愛がられ、元気に暮らしていましたので原因はさっぱり思いあたりませんでした。ただ、最近次女が言うには、「自分は明るく元気でいいねとみんなからいつも言われていて、そうしないと悪いと思って頑張ってしまい、疲れてしまったんじゃないだろうか」と話しています。
 ともかく学校に行くのが辛くなったのは間違いないわけで、朝になると長女のときと同じように「あそこが痛い、ここが痛い」と訴えますが、休ませますと昼頃までには症状が消えて家では普通に生活することができます。
 しかし、長女のときと決定的に違ったのが親の対応で、長女のときの反省や、不登校についていろいろ学習していたこともあり、次女に対しては、一切無理に学校に行かせようとはしませんでした。

集中連載「わが子が不登校で教えてくれたこと」②

 今年38歳の長女が、中学2年の1学期、朝になると「頭が痛い、お腹が痛い、吐き気がする」など様々な身体症状を訴え、学校に行けなくなりますが、とりあえず休ませると昼頃までには症状が治まります。不登校について全く理解のなかった私は、「それならば学校に行けるだろう」と学校に行くように強制し続けました。
 先生に家庭訪問してもらう、毎朝友だちに迎えにきてもらう、車に押し込んで学校まで連れて行くなど、あらゆる手をつくしましたが、登校させようとすればするほど、長女の体調は悪化して、3年生に入るとほとんど行くことができなくなりました。
 このままではどこの高校も入れないので留年して次の受験に備えようという愚かな判断をして、長女を決定的に追いつめてしまいます。長女は学校へ行くどころか家からも出られなくなり、部屋の中は荒れ放題、昼夜逆転して生活のリズムはメチャメチャになってしまいます。
 ここに及んで妻が「どうもこれは変だ。自分たちのやり方が間違っていたのではないだろうか」と不登校についていろいろ調べ、無理に学校に戻そうとしたことで長女をひどい状態に追い込んでしまったことに気がつき方針を変えますが、私はなかなか気持ちの切り替えができませんでした。一般的に父親は「そんなことで世の中は通用しない」「もっと強くならならなければダメだ」といった意識からなかなか抜けられません。
 しかし、妻からずいぶん諭され、長女のいよいよ辛そうな状態を目の前にして、長女を必死になって学校に行かそうとしたのは、「長女のため」と思っていたものが、実は「高校に行けないと困る」という親の気持ちであることに気がついていきました。そこから「まてよ? 本当に高校に行かなければ、この子の人生は無いのだろうか?」という気持ちにだんだん変わっていき、このときの解放感は今でもはっきり覚えています。
 自分の気持ちが楽になると自然と子どもとやさしく接することができるようになるもので、それから長女との関係も改善し、長女は元気を回復して通信制の北海道立有朋高校に進みます。

集中連載「わが子が不登校で教えてくれたこと」①

 函館の「しそーらすソフト」という発達障害の当事者会が発行する会報に、2010年4月から、「わが子が不登校で教えてくれたこと」というレポートを連載し、その都度このブログでも紹介してきましたが、
2か月に1回と飛び飛びの掲載で、前後のつながりが分かりにくかったと思います。そこで、当該会報の連載が終了することから、これまで発表したものを短期集中で掲載します。以前にご覧になり、内容ご記憶の方はスルーしてください。

【第1回】
 このたびは「みんなのたから」に発表の機会を与えていただき、心から感謝申し上げます。発達障害について、最近は少しずつ理解が進んできたように見えますが、社会全体ではまだまだ十分に理解されているとは言えず、この障害を抱える皆さんはとても辛い思いをしながら生活されていると思います。
 その意味では、不登校やひきこもりの子ども・若者も似たような環境におかれています。どちらの場合も、一見「普通」(この「普通」という考え方そのものが実はたいへん大きな問題を孕んでいるのですが)に見えますので、「なんでちゃんとやれないんだろう」とか「怠けているんじゃないか」「精神力が弱いんじゃないか」「親の育て方に問題があるんじゃないか」など、個人や家庭が責められることがとても多いわけです。
 私は二人の娘がどちらも不登校になり、約15年間子どもの不登校に付き合ってきたことから、函館・登校拒否と教育を考える親の会「アカシヤ会」や道南ひきこもり家族交流会「あさがお」などのお手伝いを続けて参りました。そんな経験から学んだことを2005年に「わが子が不登校で教えてくれたこと」という本にして出版しました。
 幸い、当事者や支援にあたる関係者などから「読んで気持ちが楽になった」「子どもとの関係の持ち方を変えようと思う」「とても参考になった」など、たくさんの反響をいただきましたが、その本が品切れになったものですから、昨年11月に「わが子不登校で教えてくれたこと・改訂版」(文芸社、千円)を発行しました。
 これ以降、不登校やひきこもりをどのように理解し、子どもと関わっていったらよいか、私の体験談などを手がかりに連載させていただきますのでよろしくお願いいたします。
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野村俊幸

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