いわき市の講演会⑦:不当の実数はもっと多いはず

 特に中学生では37人に一人ですから、単純平均で1クラスに一人くらいはいるという計算になりますが、私は17万人という数字は不登校の実態を表すとは、とても思えません。
 と申しますのは皆さまご存じのとおり、これは「年間30日以上、病気などの明確な理由がなく休む」という人数であり、例えば保健室や相談室に登校するなどして30日以上欠席にならない子どもは不登校にはカウントされませんので、実質的に不登校状態の子どもや、さらには行き渋りながら無理に登校している、いわば潜在的な不登校の子どもはその何倍もの人数になると思います。
 それと最近特に気になるのが、何日か休むと、すぐに学校から精神科を受診するように勧められるケースが増えていて、もちろん、最近は子どものうつ病も増えていますので、病気の場合はきちんとした治療が必要ですし、理解のあるお医者さんにつながりますと、無理して登校しないでゆっくり休むようにアドバイスをいただき、親子ともども少し安心し、学校も分かってくれる場合もありますので、私は受診そのものを否定するわけではありません。
 しかし、受診して何からの病名がつきますと、これは不登校ではなく、病欠にカウントされるわけですから、まさか、不登校の人数を少なくするために受診を勧めている訳ではないでしょうしが、親もお子さんも不登校を否定しないで少しゆっくり休息すると元気を回復するケースまで病気にされてしまう心配ももありますので、このあたりはマニュアル的な対応にならないよう、十分に配慮が必要だと思います。
スポンサーサイト

いわき市の講演会⑥:17万人の小中高校生が不登校

 そこで、レジメの2ではまず不登校の現状についてふれていますが、今日ご参加の皆さんの中で、不登校のお子さんを知っている、あるいはそのようなお子さんのいるご家庭を知っているという方はどのくらいおいででしょうか?(7割ほどの方が挙手)
 今日は関係者の方が多く参加されているでしょうからたくさんの手があがりましたが、必ずしもそうではない、例えばPTA研修会や、一般の方を対象とした保健所や教育委員会のセミナーなどでも3割くらいの方が手を挙げますし、これは全国どこでも同様です。
 ですから、不登校について文部科学省は、以前は子どもの性格や弱さ、親の育て方の問題と言っていましたが、これだけ増えてきますとそれでは説明がつかなくなって、現在は何か特別の事情がある家庭や子どもに起こる問題ではなく、どのご家庭にも普通に起こることと見解を変えています。
 データの詳細については、レジメ6ページに「教育ジャーナル」という教育専門誌の記事を載せていますので、後ほどご覧いただきたいのですが、サックリ言って、全国で17万人の小中学生、高校生が不登校です。

いわき市の講演会⑤:早めのサインを受けとめる

何を申し上げたいかと言いますと、子どもが親や周りの願いや思いから外れていって、家庭がもめるという話は、ごく普通にあることだと思います。
 ですから、問われているのは「良い子」の中身だであり、むしろ適度に、いわゆる「問題行動」を起こしてくれた方が、おおごとになる前に問題を解決できる手がかりになると思います。
 私は不登校もひきこもりも別に「問題行動」だとは全然思わないのですが、例えばそのような形で、早めにサインを出してくれた方が、溜め込んで後になって爆発するよりずっと良いと考えています。
 そのとき、親御さんや先生をはじめ周りの大人たちがどのように関わるかが問われているわけで、そこにソーシャルワークの考え方を生かしてほしいわけです。

*2015年2月14日~ 「不登校・ひきこもりを考える」講演記録(いわき市)連載開始
*同 1月10日~29日:例会報告~いじめへの対処、学校との付き合いあ方など
*2014年12月4日~17日:文科省主催「全国不登校フォーラム」報告の連載
*同 11月7日~12月2日:例会報告~強迫症状への対処、いじめへの対処など
*同 10月23日~30日:投稿「わが子が『発達障害である』ということ」
著書 『カナリアたちの警鐘~不登校・ひきこもり・いじめ・体罰ヘはどにように対処したらよいか』
  文芸社セレクション・文庫版、700円+税 書店注文または送料著者負担により送付可 

いわき市の講演会④:長崎の事件が意味するものは…

(いわき市での講演会「不登校・ひきこもりを考える」を再開します)
 これは長崎県で女子高校生が同級生を殺害し遺体を切断したというあの事件にも共通していて、事件直後の北海道新聞では「2年の男子生徒は『女子生徒は普通の子だと思う。びっくりしている』と話しした」とか、「女子生徒は佐世保市内の高台にある高級住宅地で育った。一家でスポーツに打ち込み、教育熱心で知られた」「家族を知る関係者は『円満で理想的な家族だと思っていた』と口をそろえる。『明るく活発でムードメーカーだった』『とにかく頭が良かった』。同級生たちは、少女がよく本を読んでいた姿を覚えている」と報道してます。
 函館新聞の記事は、こちらは読売新聞から配信されていますのです、読売にも掲載された記事だと思いますが、「少女は学校で中心的な存在だった。学校関係者や付近住民は「信じられない」と口をそろえた。少女が通う高校の教頭によると、少女は生徒会活動に意欲的に取り組み、全校生徒に『皆さんが楽しめるような学校にしていきたい』と話していたという」とあります。
 しかしこの少女は、それまでも「猫を解剖した」とか「父親をバットで殴った」という事件があり、診察した医師は児童相談所に連絡したものの適切な支援につながらずに結果的にこの事件を防ぐことができず、その後も父親が自殺するという、最悪の悲劇になってしまいました。
 

不登校は「制度公害」(古山明男さん・信濃毎日新聞)

 講演連載中断で申し訳ありませんが、古山明男さんが信濃毎日新聞2月11日号、「コンパス」欄に不書いた記事がとても本質を突いた内容なので、ご紹介します。
【不登校は「制度公害」~教育の形 もっと広げて】
 文部科学省が、有識者を集めて「フリースクール等に関する検討会議」を設置しました。これまで制度外に置かれてきたフリースクールなどへの支援を検討します。
 これまで不登校は、本人の問題と捉えられてきました。そのことが不登校問題の解決を不可能にしていました。不登校は「制度公害」です。たくさんの子どもたちが自分に合った教育に出合えず、学校に行かないことを非難され、追い詰め
られていったのです。
 私は、日本教育が大きな欠陥を持っていると思います。それは、「何を習得すべきか」だけに目が行っていて、子どもの福祉とケアがおろそかになっていることです。そのため、学校を怖がる子どもたちがたくさん生まれました。
 もちろん本人や家庭の要因はあります。全員が不登校になるわけではないのですから、個人的要因はあります。しかし、大気汚染公害の場合でも、全員がぜんそくになるわけではありません。虚弱体質、特異体質の人がなりやすい。だからといって、ぜんそくになることを本人の問題とはしないではありませんか。
 外国と比較すると、不登校とは何か、浮き彫りになります。不登校は、世界的な問題ではないのです。いじめや学校恐怖は世界中にあります。でも、不登校は日本だけの現象です。
 アメリカとイギリスでは、学校の荒れすさみが社会問題化しています。しかし、アメリカは家庭で学ぶホームスクールが全州で合法です。イギリスでも、学校教育以外の教育が合法です。そのため、両国では日本のような不登校問題は生じま
せん。学校がだめなら、家で育てればいいのですから、追い詰められないのです。
 北欧諸国では学校に来られない子は少なく、社会問題にはなっていません。もともと、義務教育が訓練的、競争的なものではありません。 韓国には、代案学校という制度があり、達成主義的でない学校を容認しました。日本のような不登校問題は生じていません。
 不登校解決のために、「不登校の子どもたちが行く学校」を造っても、問題の解決にはなりません。不登校の子はそういうところには行きたがらないからです。そうではなく、教育そのものを多様に生み出せるようにすることが必要です。子
どもがやりたがることをメーンとする学校があったり、家庭が教育を手配したりしても、いいじゃありませんか。
(ふるやま・あきお 教育研究家)

朝日新聞「学びを語る」に札幌自由が丘学園の亀貝一義さん登場!

 フリースクール支援にちぃてマスコミで取り上げられる機会が増えていますが、朝日新聞2月18日号「学びを語る」に、札幌自由が丘学園の亀貝一義さんの談話が載せられていました。亀貝先生は北海道におけるフリースクール活動のbパイオニアです。
【フリースクール 居場所と学び場、バランス大切 亀貝一義さん】
 いじめや不登校などで学校に行けない子どもが通う、フリースクールへの支援について考える国の検討会議が、1月から始まった。公教育にない学びの場が求められている。
 ■NPO法人「フリースクール札幌自由が丘学園」理事長・亀貝一義さん
 フリースクールに対して社会の見る目が変わってきました。1993年に始めた当時、不登校は「子どもの異常」で、子どもは罪の意識を持っていました。今は「学校に行けないならフリースクールがあるよ」と言われます。新しい教育活動を実践する主体と位置づけられ、政府も、公教育にない部分を求めていこうとしているのではないかと思います。
  「札幌自由が丘学園」では午前中は5教科の勉強、午後は表現や運動、といった時間割はありますが、自分に合った学びを見つけさせたいと考えています。個人差はありますが、ほとんどの子が勉強に参加するようになります。なぜ不登校になったかは聞きません。人間関係を作り直し、勉強も指導する、というサポートです。「居場所」と「学びの場」のバランスが大切です。
 2013年度の不登校の児童生徒は約12万人で、少し増えました。居場所と学びの場がもっと増えて欲しいが、多くは経営が不安定で公的支援が必要です。生徒数の何倍も問い合わせがありますが、月約3万5千円の学費が厳しい家庭も
あります。
 ただ、公金で支援するには、ある程度「学校」としての仕組みが必要です。学びの中身は子どもたちによるところが大きいですが、何をやってもいい訳ではない。フリースクールは一時的な善意や金もうけではできません。子どもの成長プ
ロセスは様々で、マイノリティーを大事にする教育は、公教育に対しても大きな問題提起になっていると思います。フリースクールで、自立に向け成長できる子どもがいると知って欲しい。
 (聞き手・河原田慎一)

いわき市の講演会連載③:参加者の内訳

 ところで、今日はいろんな立場の方がおいでかと思いますが、次の三つのグループに分ければ、ご自分はどの立場の関心から参加されたのか、ということをちょっとお聞きしたいと思います。
 ひとつは親の立場、これは不登校やひきこもりの親ということに限定したものではなくて、もっと広く、子育てや親子関係を考えたいという立場から参加された方です。
 第2は学校の先生や教育委員会など、教育に関わる立場から関心を持って参加された方です。
 第3は、保健福祉関係団体や医療機関の方、あるいは民生委員児童委員など、地域で相談活動をされている方など、治療や相談支援に関わるという立場から参加されて方です。
 申し訳ありませんが、ちょっと挙手いただきたいのですが、第1の「親の立場」という方はどのくらいおいででしょうか? (6割くらい)  第2の教育関係者はいかがでしょうか? (2割くらい) 第3の相談支援の立場の方はいかがでしょうか? (2割くらい)
 ありがとうございます。どのような立場であれ、不登校やひきこもりに限らず、例えば子育て経験のある方で、お子さんがこれまでの何の心配もなく、手がかからず、親の思い通りに育ってきてハッピーという方、あるいは学校の先生で、ほとんどの子どもが自分が教えたとおり、順調に成長してきたという方、あるいは、治療や相談支援活動で、全てこちらに思いどおりに事が運んだという方は、どのくらいおいででしょうか?
 ここでたくさん手が上がりますと話が先に進まなくなるので帰らなきゃならいのですが、例えばあの秋葉原の事件を引き起こした加藤死刑囚もそうだったように、子どもや若者が起こす衝撃的な事件の度に、「あんな良い子が」「おとなしい子が」という関係者のコメントを見ることが多いと思います。

フリースクール支援にバウチャー活用?

 朝日新聞に下記のような注目すべき記事が掲載されました。バウチャー制度は新自由主義的政策という批判もありますが、施設への直接補助ですとそれだけ行政の統制が強まりますので、次善の策かもしれません。もちろん、バウチャーを受けとることができる施設の許認可を通して行政の関与は避けられませんが、そもそもどんな形であれ、公的資金が入るのであれば憲法89条により、何らかの行政の関与が不可欠です。それを最小限に食い止めるような制度設計の工夫が求めれると思います。

【2015年2月20日の朝日新聞記事】
フリースクールに「教育バウチャー」 保護者に補助 文科省が検討へ
 不登校の小中学生が通うフリースクールをめぐり、保護者に直接費用を補助するクーポン券のような「教育バウチャー制度」を導入する案が浮上している。
 文部科学省はフリースクルの支援策や制度上の位置づけを議論する有識者会議を1月から開いている。今後この案を議題として意見を聞いたうえで、是非を検討する見通しだ。
 フリースクールは、不登校生の学習支援や活動の場として保護者らが立ち上げた民間施設。ただ、法律上の位置づけはなく、国からの補助金もない。このため、スタッフの人件費などをまかなうため、費用が年に100万円を超えるケースもあり、利用者の負担が課題になっている。
 文科省の調査では小学校の児童1人当たりの公的支出は年間約91万円、中学生は約106万円。学校に通える子と、約12万人の不登の小中学生への支援に差があり、何らかの形で財政支出する必要性も指摘されていた。
 使い道を限定したクーポン券を保護者に配るバウチャー形式だけでなく、手続きを施設が代行し、費用を減免するような形も合わせて検討される見込み。また、補助の対象は学校が合わなくて通えなくなった不登校児らに限ることが想定されるが、家での独学を選ぶなどして家庭の都合で通学しないケースを除外するかどうかも論点になりそうだ。
 有識者会議は、今後、文科省の案をもとにしながら慎重に議論を進め、来年4月までに結論を出す予定だという。(高浜行人)

フリースクール議員連盟の動向に注目

 講演連載への横入りで申し訳ありませんが、全国フリースクールネットワークから、以下のような注目すべき情報をいただきましたのでご紹介します。フリースクール議連の馳浩幹事長が「議員立法で(仮称)普通教育支援法の制定を」という発言をするなど、政治の動きは予想以上に早いようです。
【全国FSネットからの情報】
 2015年2月18日、参議院議員会館にて「フリースクール等議員連盟」第二回総会が開かれました。議連事務局長の林久美子参議院議員のあいさつから始まったこの会には下村文科大臣も出席。
・文科省からの現状、フリースクール等の支援に向けた取り組みの報告
・市民、フリースクール関係者からの発言
(奥地圭子、フリースクール現役メンバー、OBOG、保護者から)
・出席議員による質疑応答
などが行われました。
 会の最後には、議連幹事長でもある馳浩衆議院議員より「(仮称)普通教育支援法」とする法律の議員立法に向けた検討に入るとの発言がありました。
・憲法では保護者は子どもに普通教育を受けさせる義務を負っており、義務教育は無償となっている、したがって普通教 育という観点から考える。
・学齢期をこえて、幅広く普通教育を保証する必要性がある。
・支援の方法については、個人への支援に着目したバウチャー制の形も視野に入れている。
・同時に、寄付税制などについても検討する。
 発言の中では、以上の様なポイントについてもふれられていました。「我々が、立法府として、国民の声を受けてやっていきたい」との言葉もあり、全ての子どもが安心して、ありのままにに学び・育ち、生きることがで きる社会の実現に向けて、大きな一歩となることを期待しています。

「不登校・ひきこもりを考える講演会」②:ソーシャルワークとは

(しばらく中断しましが、いわき市での講演会の連載を再開します)
 そこで、レジメの冒頭にソーシャルワーカー倫理綱領による「ソーシャルワークの定義」という項目を載せています。
 ソーシャルワークというのは、生活についていろいろ困っている人を助ける仕事というように一般には理解されていて、それはそれで間違いはないのですが、それだけですと、そうでない人には関係のない分野の話になってしまいます。
 しかし、この定義をご覧になればお分かりいただけますように、それだけとどまらず「人間の福利の増進(well being)」とか「社会の変革」、「人々のエンパワーメントと解放を促す」というように、人間が人間としてよりよく生きるための活動なわけです。
 そして、その方法論の一番の特徴は「人びとがその環境と相互に影響しあう接点に介入する」とありますように、今起きている問題を単に個人の病理、個人の抱える問題とだけ捉えるのではなく、その人とその人を取り巻く環境との相互作用の中で起きている問題であると考えますので、環境の改善も含めて総合的に問題の解決を図ろうとします。
 また、「人権と社会正義の尊重をその拠り所とする」と宣言していますが、これだけですとあまりに抽象的ですので、わが家の体験と、不登校やひきこもりの相談支援活動などの現実にふまえ、ソーシャルワークの考え方や方法論が、もっと広く、子育てや教育など生活全般でもとても役に立つというお話をしたいと思います。

安倍首相施政方針演説の光と影②

【子どもたちのための教育再々②】
 フリースクールなどでの多様な学びを、国として支援してまいります。義務教育における「六・三」の画一的な学制を改革します。小中一貫校の設立も含め、九年間の中で、学年の壁などにとらわれない、多様な教育を可能とします。
(全文:官邸ホームページ http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement2/20150212siseihousin.html)
【コメント②】
 しかし、①に続く部分でフリースクール支援を名言したは画期的ですが、「6・3の画一的な学生の改革を~」という内容は賛否両論があるでしょう。安倍政権の基本路線は新自由主義ですので、「フリースクール支援」をテコに、「農協改革」に続いて新自由主義路線により、「岩盤規制」の公教育を解体・再編することを狙っているという批判が出てくることも予想されます。
 フリースクール支援の動きが、こういった議論の中でもみくちゃにされ、日の目を見ないということは避けてほしいです。何よりも、全国各地で奮闘を続けるフリースクール関係者、不登校の子どもたちや「親の会」など当事者の声をしっかり受けとめ、何らかの形でフリースクールの公的支援の制度化を実現してほしいと願っています。

NHK視点論点でフリースクール支援について放送

 取り急ぎの意お知らせです。NHK「視点論点」で「フリースクールなどに国の支援を」をテーマに取り上げ、東京シューレのに奥地圭子さんが出演するそうです。放送日は、水曜日18日の次の2回です。私は早速ビデオ予約しました。
 2月10日もNHKラジオ「私もひとこと夕方ニュース」でフリーすくーり支援が取り上げられて奥地さんが出演、フリースクールを利用した成年の☎取材も交えて、とても理解のある良い番組でした。リスナーからの「私もひとこと」の中に「フリースクールがそんなに良いところなら、みんなそこに行くと言いだすのではないかと心配」という声がありましたが、これはある意味本質をついている「心配」で、フリースクール支援は今の学校のあり方を問うものだと思います。
*視点論点放送日  NHK 総合 午前4時20分~30分 
              NHK Eテレ 午後1時50分~2時

安倍首相施政方針演説の光と影①

 いわき市講演会報告に横入りする形になりますが、2月12日の安倍首相施政方針演説はとても重要なので、少しコメントしたいと思います。
【施政方針演説:子どもたちのための教育再生①】
 「娘は今、就職に向けて前向きに頑張っております。」二十歳の娘さんを持つお母さんから、手紙を頂きました。娘さんは、幼い頃から学習困難があり、友達と違う自分に悩んできたといいます。「娘はだんだん自己嫌悪がひどくなり『死んでしまいたい』と泣くこともありました・・・学校に行くたびに輝きが失せていく・・・しかし、娘は世の中に置いて行かれまいと、学校に通いました。」
 中学一年生の時、不登校になりました。しかし、フリースクールとの出会いによって、自信を取り戻し、再び学ぶことができました。大きな勇気を得て、社会の偏見に悩みながらも、今は就職活動にもチャレンジしているそうです。その手紙は、こう結ばれていました。
 「子どもは大人の鏡です。大人の価値観が変わらない限りいじめは起こり、無なることはないでしょう。・・・多様な人、多様な学び、多様な生き方を受け入れ、認め合う社会を目指す日本であってほしいと切に願っております。ちっぽけな母親の願いです。」と。
 否(いや)、当然の願いであります。子どもたちの誰もが、自信を持って、学び、成長できる環境を創る。これは、私たち大人の責任です。
【コメント①】
 安倍政権の政策にはたくさん異論がありますが、首相の施政方針演説で不登校の親御さんからの手紙を紹介したというのは記憶がありませんので、この部分はしっかりやってほしいと思います。

「不登校・ひきこもりを考える」講演記録の連載①:私の基本的なスタンス

 昨年11月29日、いわき市で「『たけのこの』の会・教育を考える講演会」で、「不登校・ひきこりを考える~親の立場と相談活動の現場から」というテーマで講演しました。70名を超える参加者が熱心に聞いてくださり、講演後の質疑応答も1時間では足りず、終了後もロビーでご家族と話し込むという密度の濃い集いとなり、私自身もとても勉強になりました。約2時間という講演時間をいただき、それなりにまとまったお話ができましたので、その講演記録を連載します。
【私の基本的なスタンス】
 皆さまこんにちは。ご紹介いただきました野村です。3年前にお邪魔したときは、大震災の爪痕が市内各地そのまま残っていて、市民生活も復旧の真っ最中という時期にもかかわらず講演会を開催してくださった皆さまに、何とお礼を申し上げてよいものやら、言葉が見つからない思いでした。 3年経ってもまだまだ復興の途上で、原発事故の対応も含め大変な課題が山積している中で、今回もこのようにまた講演会にお招きいただきましたことに、あらてまして心からお礼申しあげます。 
 最初に、私の基本的なスタンスを簡単にお話させていただきますが、私がこういった分野に首を突っ込むようになったのは、娘が二人とも長いこと不登校になりましたので、ひとつは、保護者、当事者の立場からのお話です。
 もうひとつは、35年間道庁に務めて6年前に退職してからは、函館臨床福祉専門学校と教育大学函館校で福祉関係科目の講師を務めるほかに、いわゆるひきこもり・ニートの若者を支援する「はこだて若者サポートステーション」の相談員を務めていますが、これは、社会福祉士と精神保健福祉士という立場でソーシャルワーカーの仕事をしておりますので、そのような視点からのお話をさせていただきます。

感動した本の話の続き

 私はミステリー、特に「本格推理小説」の大フアンで随分と読み漁りましたが、加齢とともに感性が鈍ってきたせいか、最近の作品群にはあまり手がでなくなりました。そこで今は歴代の江戸川乱歩賞受賞作と日本推理作家協会賞作を再読していますが、やはり初期の名作群に心惹かれます。
 近年の作品は、「スゴイ!!!」と感心するものと「???」の落差が大きいように感じていますが(全く個人的な趣味の話ですが)、2012年の第58回乱歩賞「カラーマーゾフの妹」高野史緒著には心底衝撃を受けました。歴代乱歩賞の中でも最高傑作のひとつに数えられるのではないでしょうか。
 そしてこの数年、最も心の支えになってきたのが、昨年春に刊行終了した「燃えろ!新日本プロレス~至高の名勝負コレクション」全67巻(集英社)でした!(^^)! 

2014年の読書ベスト5

 もう2月なので、時機を逸していますが、昨年の読書メモから、特に印象に残ったベスト5を紹介します。全て、現場に立つ著者ならではの迫力に満ちた著作ばかりです。
□『角栄のお庭番 朝倉昭』中澤雄大 著 講談社 1800円+税
※常に傍らにいて、その生涯にわたって「田中角栄秘書」の6文字を背中に刻んで生きてきた男が 語る!
□『議会に風穴をあけたやるら、その後』陽太千裕 著 亜璃西社 1500円+税
 ※愛するわがまちを変える!我々の知らない地方政治の現場、頑張る議員の姿がリアルに伝わり圧倒される
□『ひきこもりを語る~ひきこもり経験者が訊く八人の有識者へのインタビュー』
   杉本賢治 編  印刷製本 ブイツーソリューション  
□『不登校・ひきこもりが終わるとき~体験者が当事者と家族に語る、理解と対応の道しるべ』 
    丸山康彦 著 ライフサポート社 1600円+税
※体験者が語る、不登校・ひきこもり理解の決定版! 目の覚めるような、斬新なメッセージが 満載!
□『苦労を分かち合い希望を見出すひきこもり支援』田中敦 著 学苑社 1994円(税込) 
※ひきこもりを支えて15年、歩み一冊に。地域に力発揮できる居場所を!

2月の不登校関連行事のお知らせ

 2月8日の道南ひきこもり家族交流会「あさがお」例会には23名、体験者の集い「樹陽のたより」も10名とたくさんの方に参加いただきました。このような状況を「盛会」と表現するのは躊躇するのですが、辛い状況にある当事者・ご家族はまだまだ膨大にいる思います。
 また、不登校についての関連行事が次のとおりですので、お悩みの方や関心をお持ちの方のお知らせいただければ幸いです。

【登校拒否と教育を考える函館アカシヤ会 例会】
2月15日(日)午後1時30分~4時、函館市総合福祉センターあいよる4階会議室(若松町33-6)。
不登校の子どもを持つ家族や過去に経験のある家族、教師、支援者らが集まり、
悩みや子どもとの関わり方などについて話し合う。資料代200円。(連絡先:野村☎090-6261-6984)

【「昴の会」~不登校をともに考える会 例会】
2月22日(日)午後2時~4時、北斗市七重浜住民センターれいんぼ~。不登校やひきこもりの子どもを持つ家族や
過去に経験のある家族、教師、支援者らが集まり、悩みや子どもとの関わり方などについて話し合う。
資料代300円。16時から社会福祉士による個別相談も実施。
(連絡先:川崎☎090-9438-0825)

フリースクール検討会③:実践発表に「目からウロコ」という発言も

 事例発表が4つありました。東京シューレ、スマイルファクトリー、フリースペースえん、楠学園
 文科省の会議の場でこういう内容を聞けるとは、といういい内容でした。共通していたのは、子どもをまず安心させ信頼関係を作るんだということ。公立機関系の委員が3人、「眼からウロコ」「勉強になった」と言っていましたが、これはお世辞だけではなかったと思います。
 奥地さんが終わりのほうで、機を捉えて「選べることが大事。多様な学びの中から、うちの子にはこれが合っているというものを選べるしっかりした仕組みが必要。選べる仕組みを法律で保障する。その学ぶ場は、関係機関によって相互認証する。社会が納得できるやり方を。」
 とにかく、「言いました。記録に残してください。検討課題にしてください」という形を作りました。これから、文科省の「学校外の学習」に対して、学びを狭く考えないでください、こんなにいろんな道があります、という民間側の構図になりそうです。ホームエデュケーションが鍵になるかな、と思いました。

フリースクール検討会②:下村大臣の挨拶など

一方で、文科省が「学校外の学習」と言うのと、民間フリースクールが「学校によらない学び」と言うのでは、ずいぶんとニュアンスが違います。
 文科省事務局から、この会議での論点は、義務教育段階で、不登校の子どもに関することに絞るという説明がありました。不登校に関して、「学校外の学習」を支援する体制をいかに作るか、それを考えましょう。というのが、文科省の基本線のようです。
 従来の文科省に比べれば大きな一歩を踏み出しています。それは評価しないといけない。でもこれだと「多様な学びを選択できるようにする」、というところまで行けるかなあ、難しそうだなあと思いました。
 それを広げていったのが、下村文科大臣と奥地さんでした。下村大臣が途中から出席し、あいさつしました。「学校という枠を超えて検討できる。画期的な検討会議になる。いままでのような学校教育ではだめだ。20年先を考えないといけない。子どもにとっての未来の教育は何か、という視点を示してほしい。」
 下村氏の見識は高いな、と思いました。 この人は、優れた人材を育てるには、という視点が入るので疑念も呼ぶのですが、いまの学校教育じゃだめだ、フリースクール系の教育が大事なものを持っているということは、よく理解しています。

第1回「フリースクール等検討会議」の状況①

 文科省の「フリースクール等検討会議」の状況について、古山明男さんからお知らせいただき、ご本人のご了解をいただきましたので、ご紹介します。古山さんは「多様な学び」について数多くの実践を「され、「変えよう!日本の教育~教育に競争はいらない」(平凡社)の著者です。私はこの本からとても多くのことを学び、「カナリアたちの警鐘」の執筆に際しても大きな指針となりました。
【古山さんのレポート】
 「フリースクール等に関する検討会議」(第1回)を傍聴してきました。委員の肩書きを見ていくと、民間フリースクールが少ない。公設民営や障害児教育を含めても4人。「フリースクール等」なのに、大丈夫かいな、いうのがこの会議への関心でした。

 聞いてみると、議論の流れは悪くない。フリースクールはこんないいことをしてますよ、というアピールが中心になりま
した。座長が誰になるかが関心事でしたが、永井順国氏(政策研究大学院客員教授 元読売新聞社)。フォーラムでの講演もしていた方です。学者肌の方で、官界に通じる言葉をよく知っていて、まとめ役になれる人、という印象でした。

 はじめに文科省事務局から説明がありました。「フリースクール等に関する主な論点例」として、文科省内の論点整理が示されました。文科省からのまとめで気が付いたことは、「学習」という言葉を多用していて、「教育」を使っていないことでした。これは、学ぶ側をどう支援するかの問題だ、と文科省は認識している、ということだと思います。

朝日新聞社説で「フリースクール支援」に言及

 2月1日の朝日新聞が社説で、「フリースクール支援ーどうつくる多様な社会」という見出しで、文科省の「スリースクール等に関する検討会議」が始まったことを報じています。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=com_gnavi
 社説の論旨は、次のようなものです。この社説と関連記事のpdfファイルがありますので、ご希望の方は下記アドレスにご連絡ください。
tnomura@sea.ncv.ne.jp
○学校外の学びの場を正式に認め、支援に踏み出すことを安倍政権が検討している。
・・・学校がすべての子にとって最善とは限らない。いままでの方針を見直すことを支持したい。
○学校一本やりは限界:
これまでの「学校復帰一本やり」の方針が壁に突き当たっているのも事実だ。・・・教育の目的が人間としての成長を促し、社会に生きていく力を伸ばすことだとするなら、学びの場は学校だけとは限らない。別の選択肢も認めてよいのではないか。
○校外の学びどこまで:
フリースクールの役割は、何も学校に行けない子の居場所だけではない。そもそも、多様な思想や哲学を背景にした教育の場として生まれてきたものだ。学校にはない特色のある教育を展開する学びの場。そこにフリースクールの可能性がある。・・・日本でも親が家庭で学習を支えるホームエデュケーションや、子どもの表現を重んじるフレネ教育、自主性を尊重するサドベリー教育などがある。グローバル化のなか、インターナショナルスクールや外国人学校も増えている。今回の検討で、これらを正式に認め、支援の対象に含めるのか、除くのかも焦点だ。
○教育、誰が決める:
どんな学びの場をどこまで認めるかかは、教育を誰がどのように決めるのか、多様な価値観を社会としてどこまで許すのかという大きな問いに行き着く。公教育は、これまで国が教科書やカリキュラムなど教育内容やプロセスを定め、入口で質を保とうととしてきた。それを人々が教育内容を決め、選び、学んだ結果を出口で評価する方向に、どこまで帰るのか。教育のあり方は、これからの社会のあり方に直結する。検討会議の議論に注目したい。


2月のひきこもり関連行事のお知らせ

 あっという間に1月が行ってしまい、早や2月、「2月は逃げる」で「3月は去ると言われますが、ひきこもり支援は、時間に追い立てられないという腹構えが大事なので、今月の下記行事もそんなつもるで臨みたいと思います。

【ひきこもり当事者の集い「樹陽のたより」例会】
 2月8日(日)午前11時~午後1時、函館地域生活支援センター(駒場町9-24)。ひきこもりを体験者した当事者が体験や悩みを語り合い、今後の進路や社会参加の取り組みなどについて話し合う。参加費無料。
(連絡先:野村☎090-6261-6984) 

【道南ひきこもり家族交流会「あさがお」例会】
 2月8日(日)午後2時~4時、函館市総合保健センター(五稜郭町23-1)。ひきこもり当事者や家族が集まり、体験や悩みを語り合い、ひきこもり者への関わり方などを学ぶ。臨床心理士や医療ソーシャルワーカーなどもサポーターとして参加。会員以外は資料代200円。
(連絡先:野村☎090-6261-6984)         
プロフィール

野村俊幸

Author:野村俊幸
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR