北海道精神保健協会機関誌「心の健康」連載⑥

活動から見えてくる課題
(2)「ひきこもり」と就労・社会参加
 「ひきこもり」の最近の動向に関して平成22年7月に発表された内閣府の調査では、ひきこもり者は全国で69万6千人にのぼると推計されていますが、そのきっかけに「小中高校の不登校」を上げた人は11.9%、「大学になじめなかった」が6.8%で、「不登校との関連」は合わせても20%以下です。これに対して、第1位が「職場になじめなかった」と「病気」で各23.7%で、第2位が「就職活動がうまくいかなかかった」の20.33%ですから、「仕事に関する理由」が44%と、不登校の2倍以上になっています。
 このような傾向は、私が相談員を務めております「はこだて若者サポートステーション」でも共通しています。2010年6月のオープンから2013年5月までの3年間の利用登録者は607名に達しています。もちろん全てが前述の厚生労働省の定義による「ひきこもり」の方ではありませんが、「ひきこもり傾向」にある方が多いのは確かです。その平均年齢が26.1歳で、大学生年代を過ぎた20代後半以降の方が64%を占め、しかも何らかの仕事経験のある方が74%と、仕事経験のない方よりずっと多いのです。
 このように「ひきこもり」は、不登校で躓いた若者だけの問題ではありません。体験者のお話をじっくりうかがうと、「今どきの若い者」の精神的・心理的病理の問題として片づけるのは間違いで、雇用や職場環境の変化、硬直した教育システム、余裕のない家族関係など今の社会が抱える様々な課題とリンクしていることを実感しています。
 ですから「ひきこもり」対策は、個々の事例についてはより一層しっかりと保健・医療・福祉が連携したケースワークの支援や、柔軟な就労支援(それを可能とする雇用政策や職場環境づくりといったソーシャルアクションも必要になりますが)、「学び直し」という観点からの学習支援など、子ども・若者の総合的な自立支援の取り組みが求められているのではないでしょうか。
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